不動産業者と歩合制度
不動産の仲介においては、しばしば「歩合」という考え方が出てきます。これは不動産を仲介する人の給与形態に関わることです。不動産の仲介をする人の給与形態は各社によって異なりますが、なかには、「固定給+歩合給」というかたちをとっているところもあります。
このような場合、固定給が比較的低く抑えられており、歩合給によるプラスアルファを考えなければ厳しい、ということもあり得ます。この「歩合制」は、ある意味では非常に理に適った制度です。不動産仲介においては営業成績が上がらなければ儲けにはなりません。
また、自分のがんばりがそのまま自分の給料に反映されるということになれば、仕事に打ち込むモチベーションを保ちやすくなります。このため、歩合制は決して悪い制度ではないのです。実際、非常に優秀で成績がよい社員の場合、歩合制の方が年収を高く保ちやすいという特徴もあります。
ケースによっては入社2~3年で1,000万円の年収に達することも珍しくはありません。自分の営業力などに自信のある人が、不動産仲介業に流れていく理由の一つが、この「歩合制による給料の高さ」だと考えられています。また、わかりやすく「年収」「立場」が営業結果で決まってくるため、プライドなどを保つための有効な方法ともなり得ます。
歩合制度と利用者側の見方
「歩合制」に振り回されないで
ただ、このような「歩合制による給与の決定」は、不動産の仲介をお願いしようとする「利用者側」からでは時にマイナスになってしまう要因でもあります。
- 「この契約がとれなかったら、歩合が下がる」
- 「給料をアップするために、とにかくこの契約を締結しなければならない」
- 「しばらく成績不振が続いていて、周りからの目が厳しいし給与面でも苦しい。契約を結ばなければ」
という焦りが、対応者に出てしまうことがあるのです。こうなってしまうと、契約を決めさせようととにかく強引に話を進めてくる可能性があります。まだじっくり考えていたいのに、契約を強引に迫られてしまったために断れず、そこで契約をしてしまった……というケースも珍しくはありません。
また、契約を断ること自体はできたものの、不快な感覚が残ってしまったという人もいます。また、歩合制であることから対応者の方に余裕がなく、場合によっては乱暴にも見える言葉を吐かれたというケースもあります。このように、「歩合制」という制度は、利用者にとって時にはマイナスに働きます。
もちろん、歩合制であることで非常に熱心に話を聞き、納得できる契約にしようとがんばってくれる人もいるでしょう。歩合制がそのまま「悪いこと」だとは言い切れません。しかし、ある種のリスクをはらんでいることもまた事実なのです。
不動産業者の選び方
このため、利用者側でも対応者の対応に惑わされず、きちんとした業者選びができるようにしておかなければなりません。それにはいくつかのポイントがあります。
- 手数料の仕組みがどうなっているのか
- 条件交渉に乗ってくれる会社かどうか
- 周りの評判は良いかどうか
手数料は、不動産仲介をお願いするうえで非常に重要なものです。これにはさまざまなやり方があるのですが、「利用者側からは手数料をもらわない」としているところもあります。
もちろん、「手数料がかかるところがダメ」というわけではありませんが、不動産仲介業者を選ぶうえでかなり大きなポイントになってくるでしょう。条件交渉ができるかどうかもとても大切なポイントです。これは、「利用者側の意見を丸のみにしてほしい」ということとイコールではありません。
話し合う姿勢を見せてくれるかどうかをはかる基準として使うのです。長く一つの地域で仕事をしている不動産仲介業者の場合、周りからの評判を聞くことができます。また、大手の不動産仲介業者ならばインターネットなどでもその評判を調べられます。これはかなり重要な要素です。

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